子どもたちを見ていると、
「物事に真剣に取り組まない」「スタートダッシュが遅い」
「やりたいと言っていたのに当日やらない」
「計画性がない」「時間を持て余している」
など、大人から見ると“少し心配に見える姿”に出会うことがあります。
でも私は、そうした姿こそが成長の途中であるサインだと思っています。

目次
💡「できない」ではなく「育っている途中」
大人はどうしても「ちゃんとしてほしい」「結果を出してほしい」と思いがちです。
もちろんそれは、子どもを思う気持ちから出てくるものです。
でも、子どもが何かに夢中になっていたり、
うまく言葉にできなかったりすると、
“やる気がない”“態度が悪い”と誤解してしまうことがあります。
実際には、その子なりのペースで何かを考えたり感じたりしている最中なのです。

🏫私が中学・高校の先生だった頃のこと
私は、保育園・小学校・中学校・高校・大学と、17年間にわたり教育に携わってきました。
その中でも一番長く関わったのが、中学高校時代の生徒たちです。
当時、私は美術を教えていましたが、
生徒たちからよくこんな質問を受けました。
「どうやったら高い点数が取れますか?」
「どうやったら評価が良くなりますか?」
美術の時間なのに、
「どうやったら正解になるか」ばかりを気にして、
自分の気持ちや表現に向き合わない生徒がたくさんいました。
私はそんなとき、こう答えていました。
「点数の前に、自分がどうしたいかだよ。
私が評価をつけるなら、あなたが“やりたい”と思うことに果敢に挑戦して、
たとえ失敗しても何度もチャレンジしている姿に“5”をつけたいと思う。」
すると、生徒は驚いた顔でこう言いました。
「じゃあ、失敗してぐちゃぐちゃになっても先生は100点つけるんですか?」
私は笑いながら答えました。
「そういうことじゃないの。
“どうやったら点が取れるか”って考えてしまう、その考え方自体が評価を下げるんだよ。
そうじゃなくて、自分のやりたいことを明確にして、
そこに向かって立ち向かう姿こそが“本当の評価”なんだよ。」
その時の生徒の驚いた表情を、今でもはっきり覚えています。

🕊意欲を奪うのは「大人の都合」から始まることも
長く教育に携わる中で強く感じたのは、
“大人の都合で突然終わってしまった経験”が、その後の人生に長く影響するということ。
例えば、
「もう行かなくていいでしょ」
「ちゃんとできないならやめよう」
そんな言葉がきっかけで、子どもは“自分で決める力”を少しずつ失っていきます。
そして思春期や高校・大学に進む頃に、
「自分で選ぶ」「自分で決める」ことが怖くなってしまう。
意欲や自己肯定感が下がり、進路や人間関係に影響してしまうこともあります。
🌱「大人基準」ではなく「子どもの目線」で考えること
子どもが何かを嫌がったり、うまくできなかったとき、
あるいは自分で言っていたことをやらなかったとき――
大人はつい、こう言ってしまいがちです。
「私だったらそうしないのに」
「やるって言ってたよね?」
「なんでやらないの?」
でも、これはすべて大人の基準・自分の基準での問いかけです。
そうではなく、
「やりたくなかった気持ちはどこにあったんだろう?」
「なぜ“やらなかった”や“やれなかった”のかな?」
と、子どもの目線で考えることが大切です。
その時に大人が“できなかった事実”を責めるのではなく、
“どうしてそう感じたか”を一緒に探っていくことで、
子どもは自分の心と向き合う力を少しずつ育てていきます。
「できなかったこと」よりも「感じたこと」に焦点をあてる。
その小さな対話の積み重ねが、
“自分で考えて行動する力”のはじまりになるのです🌷

🌸ちっちからのメッセージ
教育の形や価値観は、時代とともに変わります。
でも、「子ども自身が自分の人生を選べるようになること」
この軸だけは、どんな時代にも変わらないと感じています。
子どもたちの“今の姿”を結果で判断するのではなく、
「成長の途中」 として温かく見守ること。
それが、やる気や自信を育て、
いつか社会で“自分の花”を咲かせる原動力になるのだと思います🌸
私の文章は、
すべての大人に向けた“子どもの育ちを信じるメッセージ”として書いています。
どんな環境でも、子どもは伸びていける。
そのために、私たち大人ができることを一緒に考えていけたら嬉しいです🌿